この曲はローエングリンとエルザとが、結婚する第3幕の開幕の前に演奏される。今では結婚式の実用音楽になっている《婚礼の合唱》は、この曲が終わると直ちに歌われるのだが、そうした喜びの幕の上がる前奏の音楽だけあって、曲は明るく力強く爽快である。全合奏によって爆発的な歓喜を表すように始まるが、ホルンとトロンボーンで吹かれる主題はいかにもワーグナー的だ。
ワーグナーの管弦楽曲集を聴く時の、まずは規範となる録音盤。クレンペラーとフィルハーモニア管弦楽団は、ワーグナーの前奏曲やオーケストラ・ピースで4枚のLPレコードを録音、発売して、これは大変なセールスを飾っています。録音期間はそれぞれ一年ほどのインターヴァルがあったのですが出来上がった音楽の水準は、すべての置いて完璧。セットにしたボックスセットも今でも評判が良い物です。
《第3幕への前奏曲》は、演奏時間3分とすっきりとまとめられています。前奏曲から《婚礼の合唱》へ切れ目無く音楽は進行するので、オーケストラで演奏する時は終わらせ方は様々、トスカニーニは全曲の終わりにつなげていますし、ホルスト・シュタインは《婚礼の合唱》の出だしも含めた1番長い演奏を聴かせます。
歌劇《ローエングリン》は、1848年にワーグナーが書いた3幕から成るオペラで、題材はドイツ中世の伝説を基にしたもので在る。主人公のローエングリンは、グラールの聖杯を守護する騎士で、モンサルヴァートの王パルジファルの息子である。彼はアントワープで、領土の乗っ取りを企てたテルラムント一派を破り、オルトルートの魔法で白鳥の姿に変えられてしまった若い領主、ゴットフリートの姉エルザと結婚する。彼は自分の経歴を絶対に尋ねないという約束で結婚したのだが、オルトルートの策略でエルザがその禁を破ったため、ローエングリンは自分の正体を明かし、ゴットフリートを人間の姿に戻し、悲嘆にくれるエルザを残していずこかへ立ち去ってしまう、と言うのがオペラのあらすじです。
尚、第1幕への前奏曲は、オペラの中心楽想である《グラールの聖杯》のモチーフを柱に弦楽群と木管の神秘的な和音で、輝かしさとの対比をなしています。10分から15分ほどの前奏曲ですが、それだけでもドラマを感じさせる音楽で、その清らかで崇高な美しさは比類無いものとされます。多くの人が、クラシック音楽の中で最も美しいと評しています。
ワーグナーの管弦楽曲集の、アナログLPレコードの名盤
レーベル:独 ELECTROLA、レコード番号:E 90023、オリジナリティ:レッド・ラベル
レーベル:独DG、レコード番号:2531 214
曲目:ワーグナー:リエンツィ序曲、タンホイザー序曲、マイスタージンガー第1幕への前奏曲、パルジファル
演奏:指揮:カール・ベーム、管弦楽:ウィーン・フィル
曲目:ワーグナー:タンホイザー序曲、さまよえるオランダ人序曲、ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲
演奏:指揮: ウィルヘルム・フルトヴェングラー、管弦楽:ウィーン・フィル レーベル:英 EMI、レコード番号:ASD 3071、オリジナリティ:モノクロ切手ラベル、オリジナル
曲目: ワーグナー:さまよえるオランダ人序曲、神々のワルハラへの入場、タンホイザーの大行進曲、ファウスト序曲、リエンツィ序曲
指揮:サー・エードリアン・ボールト、管弦楽:ロンドン・フィル レーベル:米 RCA、レコード番号:LHMV-13、オリジナリティ:THE HALLMARK OF QUALITY ラベル、1stラベル
曲目:シューマン:交響曲 No.4、ワーグナー:ジークフリート牧歌
指揮:グィド・カンテルリ、オーケストラ:フィルハーモニア管弦楽団 レーベル:独DG、レコード番号 2707 107
曲目:ブルックナー:交響曲No.7、ワーグナー:ジークフリート牧歌
演奏:カラヤン指揮ベルリン・フィル
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