2011年11月30日水曜日

11月28日、ピアノ協奏曲第5番《皇帝》初演 - 気ままにクラシック・エッセイ《運命交響曲》

1811年11月28日。そう、200年前の昨日は、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲《皇帝》が初演された日でしたね。イントロはピアノが華やかなオクターヴのパッセージを聴かせて、オーケストラがそれに追従するという印象的なもので、十中八九、すぐに答えが分かってしまうと言うものでイントロ当てクイズには肩慣らしに良い。
Beethovendecca

月曜日のNHK-FM「気ままにクラシック」では同じベートーヴェンの「交響曲第5番ハ短調《運命》」がクイズになっていました。この《運命》。日本など極一部(と言っても広範だけど)の通称で、本来は名前は無い。だから正確には「交響曲第5番ハ短調」で良いのだけど、「交響曲第6番《田園》」と同じ日に初演されていて、《田園》が先に演奏されています。ベートーヴェンにとっては、その順番はどちらが先でも気にしてはいなかったのではないかな。
Continue Reading...

《探偵アマデウスレコード名盤エッセイ》不滅の指揮者、不朽の名盤 - 11月30日は、ドイツの指揮者フルトヴェングラーの命日。

映画女優だとオードリー・ヘプヴァーン。生前の彼女のことは知らない、いつ死んだのかなんてのも実感は無いという若い映画ファンでも、チャーミングさでは屈指の女優さんだとは認識しているようですが、肝心の映画作品となると『ローマの休日』よりも『戦争と平和』らしい。何でもモノクロの映像にはリアル感を感じられないからだと言うことでした。確かに回想のシーンをモノクロにしたり、ガタピシとしたノイズを加えた映像演出が常套句となっている現代の映像手法。全編モノクロだと、冒頭から何かの回想シーンかと思い込んでみていることもあるのでしょうね。

E90088

音楽も似ていて、「モノーラル録音は面白くない」という声が聞こえる。それでもフルトヴェングラーが死んで、最早50年とは言わない時間が経過している。それなのにCD化された戦争前後の録音が、今もって売れているのは『モノーラル録音は面白くない』というのではなさそうね。

Continue Reading...

2011年11月25日金曜日

レコード好き、ジャズがなければ生きられない人たちの必読書: A Guide for Identifying Original Pressings - ブルーノートレコード・オリジナル プレッシングガイド

テレビのお宝鑑定団で、ブルーノートのレコードに20万の値段がついたのが数年前にオリジナル盤への日本人の関心に火をつけたようです。中でも『クール・ストラッティン http://amzn.to/sAtm6P 』だったら50万円には成るんじゃないかと、今では言われています。しかし、これはオリジナル盤=初版盤で在るので念の為。それに高額なオリジナル盤は投機目的ではなく、愛聴することをお願いします。

と、いうのも。未開封盤を大事にとってらっしゃる事。ショップから届いたままヴィニールに包まれたままのレコードは、高温多湿の日本の住生活には耐えられないものです。見た目は綺麗でもレコード溝の奥深くに埃がこびりついていたりして、レコード表面のスリキズ以上にやっかいです。
さて、ブルーノートはジャズ音楽の専門レーベルですが、ルディ・ヴァン・ゲルダーのシンプルなセッティングでの録音はクラシック音楽ファンも大好き。クラシックのヨーロッパ盤やアメリカ盤を輸入販売していて、なかでも優秀録音盤を専門としていたのですが常連のお客様からオリジナル盤の見分け方を話しかけられたのがオリジナル盤、初期盤を取り扱うようになったきっかけです。

Bnr_320no
ブルーノートのレコードラベルでの初版盤か、再プレス盤かは観るポイントがわかりやすい。白地に青のプリント。実際はこの青色が微妙に違うので、数をこなすことが真贋の見極めに重要なのですが、(1)に住所が入ります。ブルーノートは最初レキシントン・アヴェニューにあり、評判になると西63番街に移ります。それでレキシントン時代にプレスしていたレコードは、この部分が「West 63rdStreet,NYC」と変わり。前者を『レキシントン・ラベル』、後者を『ニューヨークラベル』と呼び分けをしています。印刷の書体も変わるので、書かれている綴りだけでは判定しにくいのですが。
(2)N.Y.C. このニューヨーク・シティの表記に、それぞれにドットがあったり無かったり。(3)はラベルにある溝。『溝あり』、『溝なし(普通はこちらの書き方はしないものですが、ブルーノートは溝のある期間が明確なので表記してある場合があります)』。『深溝』、『浅溝』と書いてある場合もあります。
(4)と(5)は、レコード盤の音楽が終わったあとでスーッと針が流れて最内周で止まるところ、トレイルオフとも言うようです。ここに刻印というものがあります。ブルーノートのレコードでは『RVG』と書かれています。これはブルーノートの責任者のルディ・ヴァン・ゲルダーが『わたしが録音をして、レコード盤のプレスも監修しました』という署名。プレスが若い盤には手書きで書かれていて、多く流通しているのは機械押しです。『1-A』、『2-A』といった数字はスタンパーの番号。プレス枚数には限りがあるので、元型の溝が痛んでくると新しいスタンパーが作られて再びレコードのプレスが行われます。こうしたものの他に耳マークと言われるもの、メッセージの文章が書き込まれていたりもします。

規則性があるように思えますが、レコード番号に欠番があったり、A面とB面でスタンパーが異なっていたりと、そうしたレコード盤に出会った時に助けとなるのが『ブルーノートレコード・オリジナル プレッシングガイド
英語版もレコードファンには話題となり、品切れも続出するほど歓迎されました。それが日本語に訳されて、レイアウトもわかりやすく整理された一冊。レコード盤のマニアでなくても、ブルーノートのジャズ・アーティストに興味があれば録音データとしても読んで楽しいはずです。今年1番の注目書でしょう。

 

 

アマデウスクラシックス! 稀少アナログ、オリジナル盤通販サイト 11月更新:ブルーノートレコード・オリジナル プレッシングガイド via amadeusclassics.otemo-yan.net
Continue Reading...

2011年11月6日日曜日

ベートーヴェンの奇跡のアダージェット 夭折の天才指揮者グィド・カンテルリの《交響曲第7番》英HMV ASD-254 白金ラベル 評価:★★★★☆

夭折の天才指揮者と言われたグイド・カンテッリは、1956年に36歳で亡くなった。その7年後に病死したフェレンツ・フリッチャイが48歳で、更に10年後の1973年にイシュトヴァン・ケルテスが43歳で海水浴中に波にさらわれて行方不明に。この3人は若い死でもあるので、レコードがデジタル、映像で生中継される時代に存命であっても不思議ではない。

彼らが大ベテランの重鎮マエストロになっていたであろう1990年から2000年には、老齢指揮者が注目されるような必要も無かっただろう。懐古趣味、アカデミック趣味としてクラシックが捉えられない活気ある音楽世界になっていただろう。三大テナーと相乗効果で面白い展開になっていたらと思うと、なかでもカンテッリの録音がもっと残されていればと思います。

モノクロの映画が、それがオードリー・ヘプバーンという有名なアイコンの作品でも『ローマの休日』よりも『ティファニーで朝食を』が好まれる現代。モノラル録音は顧みられる機会が少なくなっています。わずかとは言えカンテッリは6曲のステレオ盤を残しています。

ベートーヴェンの《交響曲第7番》の初盤は英HMVの白金( White and Gold )ラベルで、音質は極上と評価されています。それだけに2万円〜4万円を下らないレアなレコードとされています。希少なアナログ盤ですが、再生される音楽は生々しいオーケストラの響き。CDでも、その力強さを聴くことは出来ます。躍動感には胸躍ります。それはクラシック音楽を聴くのには、らしからぬものだと感じるほどです。

Asd254-480

UK HMV ASD-254 グィド・カンテルリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団

ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92

Continue Reading...
 

名曲アルバム Editor's Choice Copyright © 2009 Girlymagz is Designed by Bie Girl Vector by Ipietoon